ボツリヌス毒素膀胱内注入療法(ボトックス療法)とは

ボツリヌス毒素膀胱内注入療法は、膀胱の内視鏡(膀胱鏡)を用いて、膀胱の筋肉である「排尿筋」にA型ボツリヌス毒素製剤(ボトックス)を直接注入します。筋肉の異常な収縮を和らげることで、過活動膀胱のつらい症状である尿意切迫感、頻尿、切迫性尿失禁などを改善します。
内服薬や行動療法といった従来の治療法では十分な効果が得られなかった「難治性過活動膀胱」「神経因性膀胱」に対して、2020年4月から健康保険の適用が認められました。

当院では、日帰りでボツリヌス毒素膀胱内注入療法を行っております。千葉駅周辺で、内服で改善しない頻尿や尿失禁にお悩みの方は、ぜひ一度当院へご相談ください。

過活動膀胱とは

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ボツリヌス毒素膀胱内注入療法(ボトックス療法)の対象となる方

保険適用となるには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 抗コリン薬やβ3作動薬といった内服薬による治療、および行動療法を適切に行っても、効果が不十分な場合
  • 副作用などにより、内服薬による治療の継続が困難な場合
  • 既存治療に満足しておらず、日常生活に支障をきたす場合

対象とならない方

  • 腹圧性尿失禁が主な症状
  • 既往歴(膀胱結石、間質性膀胱炎、泌尿器癌など)
  • 合併症(尿路感染症、尿道閉塞/膀胱出口部閉塞など)
  • 残尿量(100mL超)

治療が可能かどうかは医師が判断いたします。まずはお気軽にご相談ください。

効果の発現時期と持続期間

効果の現れ方には個人差がありますが、一般的には治療後2〜3日から1週間程度で症状の改善を実感しはじめ、効果持続期間は過活動膀胱では 6~10か月、神経因性膀胱では8~11か月程度とされています。
効果が薄れてきて過活動膀胱の症状が再び気になるようになった場合、再度の治療が可能です。
再治療を行う場合は、前回の治療から通常3ヶ月以上を空ける必要があります。定期的に診察を行い、症状の変化を確認しながら再治療の計画を立てていきます。

有効性について 下記データが報告されています

  • 尿失禁、尿意切迫感、日中の頻尿、夜間頻尿の改善が望めます。
  • 約20~40%の患者で尿失禁が消失し、約60~70%の患者では尿失禁回数が半減します。
  • 治療有効率は約60~90%です。
  • 尿漏れパッドやおむつの平均使用数は半減します。
  • 多くの患者は治療後に経口薬を中止可能です。

主な副作用とリスク

主な副作用として、排尿困難、尿路感染、残尿量の増加などがあります。
残尿が増加し、排尿困難感などの不快な症状がある場合は自己導尿(CIC)を検討する必要があります。CIC を使用する頻度は 1~2%程度です。
この治療により尿が全く出なくなる、いわゆる急性尿閉になることは稀といわれています。

治療の流れ

  1. ご予約
    まずはWebにてご予約ください。
  2. 診察・治療前の検査
    尿検査、超音波(エコー)、採血などの検査を行い、ボツリヌス毒素膀胱内注入療法が適切と判断した場合、治療法や副作用・リスクについてご説明いたします。
  3. 治療当日
    尿道から膀胱内に麻酔薬を注入し、局所麻酔を行います。 内視鏡(膀胱鏡)を尿道から膀胱内へ挿入します。膀胱鏡の先端から細い針を出し、膀胱内の粘膜下にボツリヌス毒素を15~30カ所程度に分けて少量ずつ注入していきます。 注入にかかる時間は10~20分程度です。治療が完了したら、院内で30分~1時間程度安静にしていただき、体調に問題がないことを確認してご帰宅いただきます。 日帰りで施行可能です。
  4. 治療後の経過観察
    注射から 1〜2 週間後に受診いただき、経過観察の検査を行います。問題がなければその後は1~3か月間隔で受診いただきます。

費用について

「難治性過活動膀胱」「神経因性膀胱」に対するボツリヌス毒素膀胱内注入療法は、健康保険が適用される治療です。
保険適用の場合、薬剤費や手技料などを含めた自己負担額の目安は、1割負担の方は、1万5千円〜2万5千円程度、3割負担の方は、5万円~7万円程度となります。